ミラーレスカメラを買う必要性について
はじめに⌗
カメラを手に入れて大体半年くらい経ったかなと思う。最近結局何が違うのかということを聞かれることもあるし、そのへん思うことを書いてみようかと思った。
基本的には主観的に感想みたいなものをまとめられたらいいかなと思う。専門家ではないので物理的なことや開発的な話はわからないので。ただし、世間一般的に言われていることはなんとなく把握はしているつもり。実際に検証したことはないが。
一般にミラーレスカメラのほうが有利と言われていること⌗
一般にミラーレスカメラがスマホのようなカメラと比べて何が良いのかということだが、思いつく点としては次のようなことが言われているのかなと思う。
- 写り
- 画素数が高いため高精細な画質が得られる
- 広いダイナミックレンジを持つ
- SN比がよく、高感度撮影に有利である
- センサーサイズによるボケを活かした写真が撮れる
- レンズ性能が高く逆光や周辺描写力が高い
- 色味がよく整理されており、写実的な撮影ができる
- 拡張性・機能性
- 写真や映像を撮ることに特化した操作系であり、写真撮影や映像撮影に集中できる
- レンズ交換により様々な画角や表現を実現できる
- 撮影のための多彩な周辺機器を活用できる
実際に使ってみて⌗
約半年、Lumix S5を使ってみて、先に上げたようなミラーレスの利点を体感できたかといえば、できたと考えている。スマホはArrowsとXperia 5mk2だが、基本的に撮影できる絵は素人目でも判別がつくほどLumixのほうが上であるように感じる。
画素数について⌗
まず、写りという点についてだが、画素数についてはLumixはXperiaの2倍程度の画素を持っている。スマホの小さな画面ではわからないこともあるが、大画面で見たり拡大すればその細部の表現力の差は明らかだと思う。
なるべく同じ画角で撮影した画像だが、前者がミラーレスであり、後者がスマホである。小さなビューではいまいちわからないかもしれないが、ある程度解像度のある画面で表示したり、拡大表示した場合は違いが顕著である。

ただ、Lumixはスマホよりは画素数が多いとは言っても、ミラーレスとしては標準的な画素数であるし、スマホも最近は非常に高い画素数を持つカメラをもつものが出てきているので、画素数という意味では、機種によって色々なので単純にどちらがということは言えなくなるのかもしれないと思った。
また、上の画像はかなり明るく、それほど細部の細かい描写が必要なものがあまり写ってないところもあり、割とスマホの得意とするようなシーンで撮影できたのかなと思っている。

同じシーンの比較ではなく申し訳ないのだが、画素数の高さのようなものが感じられるような気がするシーンとしては、森のような細かい部分が多い風景写真なのかなと思ったりする。こちらも前者はLumix、後者はArrowsだが、前者のほうが木々一本一本の影のような細かい部分がきちんと描写されているように見える。こういうのはいわゆる画像の高周波成分というところで、全体的な写りよりも1つ1つの細かい部分の写りというやつだが、そのような部分においては画素数の高いカメラのほうが有利であるように思う。ただ、先程も書いたとおりスマホにも高画素数を持つ機種はあるため、それなら高画素のスマホでも良いのではないかとなってしまうのだが、細部の高い描写力は画素数だけでは実現できないなと最近は思うということで、次のところではそれについて書いてみる。
広いダイナミックレンジと良いSN比を持つ⌗
ミラーレスの強みとしては、でかいセンサーを積んでるということで、でかいセンサーの利点といえば、ダイナミックレンジが広くなるということである。センサーサイズに対する画素数によっても変わってくるので一概には言えないところもあるが、それでもスマホの小さなセンサーで何千万画素のものより素のダイナミックレンジは相当に広い。
これはLEDライトの後ろにセンスを配置したものを、それぞれミラーレスとスマホで撮ったものになる。どちらも撮って出し。ちょっと極端な例だし、これでどの程度正確に比較ができるのかはわからないが、体感としては伝わるのかなと思って載せてみた。カメラのレンズ位置もわずかにことなるので、完全に同じ絵にはなってないのだが、ミラーレス撮影した前者のほうがセンスにかかれている文字まで読み取れるし、LEDライトもなんとなくどこが光ってるかみたいなものが認識できる。スマホのほうは、後ろはかなり潰れてしまってるし、 LEDライトも完全に白飛びしていて何が光ってるかわからない。
上の2枚はLumixで撮影したもの。個人的には、先に述べたようなダイナミックレンジの広さが、明暗差のある撮影や光の当たり方による物の細かな陰影をちゃんと撮影でき、結果として立体感や質感のあるきれいな写りになっているのじゃないかなと思う。後者の写真はちょっとフレアが入ってしまっているが、これだけ明暗差があるのに、風車の影の部分もしっかりと描写されているのは少なくとも今もっているXperiaではできないんじゃないかなと思った。こうした、ダイナミックレンジの広さが先の画素数と組み合わさると、高精細でなおかつ細部の陰影もはっきりした写真が撮れるんじゃないかと思う。
また、センサーサイズの大きさはSN比にも貢献している。カメラはセンサーに入ってきた光を電気信号に変えるか、そのとき信号を増幅したりする。 SN比が悪いと、ノイズが乗って暗部等でノイズが目立つ。スマホで夜景など暗いシーンを撮影すると、信号を大きく増幅するため、その過程でノイズが発生してなんだか汚い写真になってしまうことがある。ミラーレスの場合でも、暗いレンズを使ったり、極端に短いシャッタースピードで撮影すると感度を上げざるを得ず、極端に上げればノイズが乗るが、スマホよりはノイズが乗りにくい。
前者がLumix、後者がスマホである。今度は比較的スマホが苦手とするようなシーンで比較してみるが、画素数の違い、ダイナミックレンジの違いなど様々な要因が重なってミラーレスの画質は実現されていると思う。 (昨日の記事にはハイレゾショットの9000万画素の画像も載せているので気になればそちらも参照)
ボケを活かした写真が撮れる⌗
これは画質というより表現の話になると思うが、センサーサイズが大きく、明るいレンズのほうがボケるというのが写真というものらしい。スマホのカメラのレンズの明るさはF1.7等非常に明るいレンズがのってることがおおいものの、センサーサイズが小さいので結局ボケでいえばフルサイズカメラのほうがボケる。自分が今持ってるS5のキットレンズは正直全然明るいレンズではないが、それでもXperiaのF1.7よりはボケる写真が撮れてる気がする。
実際のところ、センサーは小さいがF1.7のスマホとセンサーはでかいがF3.5-5.6のレンズどっちがボケるかはわからないが、いろいろ撮影した体感上はLumixのほうがボケる。それにスマホと違い、ミラーレスなのでレンズを変えることができるので、より明るいレンズ等を購入して使えばよりボケのある写真を撮影することができるのは間違いない。
レンズ性能⌗
基本的に、スマホの小さく薄いボディに無理やりレンズを作るのと比べれば、比較的大きなサイズのレンズを自由に使えるミラーレスのほうがレンズ性能は高い傾向にあると感じる。また、レンズについてはミラーレスのレンズであってもピン切りで数万で買える安いレンズから何十万もするレンズまであるので、ミラーレスで撮影していてもレンズによって写りが変わることも多いと思う。今使っているLumixのキットレンズは、決して値段が高い高級レンズではないのだが、それでもスマホに比べれば特に周辺描写力や逆光耐性は優れていると感じる。
先程も出したが、このように思いっきり昼間の太陽を写し込むシーンであってもフレアやゴーストの発生は最小に抑えられている。このときは、レンズプロテクターをつけて撮影したと思うので、それを外していれば完全に抑えられた可能性もある。

前者はArrows、後者はXperiaで撮影している。スマホの場合、特別強い光源を直接撮影しなくても、このようにゴーストが映り込むことがある。それでも最近のスマホはかなり頑張っている気がしており、前に使ってたArrowsよりは格段にマシになったと言える。だが、古いスマホやカメラ性能を犠牲にしている安いスマホではおそらくちょっと側面から強い光が差し込むだけで容易にゴーストなどが映り込むだろう。ミラーレスの場合、普通に撮影していてこのようなゴーストやフレアに見舞われた覚えはなく、あえて強い光源を撮影するときだけ少し発生するというところ。このような逆光耐性も基本高いレンズほど良いので、今のキットレンズではなくより高いレンズを使えば更に抑えられる可能性は高い。
そしてもう1つの違いを感じる点は周辺描写力かなと思う。レンズは基本中央が最もよく写り、周りにいけばいくほど甘くなっていく。これはミラーレスのレンズであってもそうだが、スマホのカメラと比べるとやはり違いを感じるときがあるように思う。
テーブル表面を適当に撮影したが、前者がLumix、後者がXperiaである。ざっとみるとよくわからないが、隅の方を見ると、特に拡大しなくても Xperiaのほうがなんとなくぼやけているような感じがする。周辺の描写力は眼が肥えているか、よく拡大したり本当に細かいものを写さないとよくわからなかったりするような違いだったりするが、スマホだと特別拡大しなくても見てればなんとなく周りの描写が甘いなと思うことが多い。これはS5の画像に見慣れてしまってるのもあるかもしれないので、ある意味で眼が肥えているということなのかもしれないが、風景写真などを見ていても、時々周辺ちょっとぼやぼやしすぎじゃないかと思うことがある。気のせいかもしれないが…
本当は、細い線が高い密度で書かれたものなんかを写すとわかりやすいのかなと思う。
色味⌗
これは好みの問題もあると思う。一般論で言えば、ミラーレスのようなカメラは基本的に現実に忠実な絵を出すのが前提となっている。もちろん多少の色の調整はするが、存在しない色を追加したりすることはないし、限度はある。一方でスマホは、Xperiaはそうでもないのだが、特にgalaxyのようなスマホはいわゆるインスタ映えするような写真を作る傾向にある。基本的に先にも述べてきたようにどうしてもサイズ的な問題でスマホは物理的な性能でミラーレスには及ばないことが多い。そのため、それを補填するためにいわゆるAIのような技術で、色を推測したりして補完したり、ユーザーが写実性より一見派手に見える、きれいに見える絵を好むのでそういう色調整をする傾向にある。この辺はユーザーの用途や好みかなーと思う。
ただ、1つ言えば、今のスマホはできるものも多いが、基本的にミラーレスはRAWという形式で画像を記録できる。この形式の画像に対して専用ソフトで現像という処理を行えば、ある程度自分好みの色調整が可能である。なので、スマホが行っているような派手な補正などもやろうと思えばできる。スマホも最近はRAWを撮れることが多いが、基本的にセンサーサイズが大きいRAWのほうが色が破綻しにくい傾向にあると言われており、色をいじれる自由度が高い。
操作性⌗
これはいわずもがなかなと思うけど、ミラーレスは写真や映像を撮るための機材であるが、スマホは汎用的な機材である。スマホはXperiaの場合はシャッターボタンが物理的にあるが、それ以外のスマホではシャッターすらついてないことも多いと思う。それに対して、ミラーレスはシャッターはもちろん、F値やシャッタースピード、ホワイトバランス、ISO感度などを容易に調整できるようにダイヤルがついてたり、いろいろなボタンがついている。多くの操作は右手だけで物理ボタンで行えるようになっているし、カスタムもできるので、使い慣れてしまえば設定を自由に変えて瞬時に写真を撮ることができる。(ミラーレスはスマホのようにボタンを押せば全部オートでいい感じに設定してくれる機能もあるので、スマホのようにシャッターを押すだけで撮影することもできる)
そのため、写真を撮るということにこだわりがある場合は、ミラーレスを使うのが間違いなくよいだろうと思う。
結局写すものは一緒なんだから、シャッターさえきれればよいのでは?と思う人もいると思うが、設定をいじることで写真の作りを色々変えることができる。簡単なところで言えば露出補正などをいじれば、暗めに写真を撮影したり明るめに撮影したりできる。日陰でちょっと暗いから明るめに映るように撮ろうとか、暗い厳かな雰囲気を出したいから暗めに撮ろうとかそういうことができる。スマホでシャッターを押すだけだと、この明るさならこのくらいで撮れば見える感じに映るかなというくらいで撮影されるので、気分に合わせた撮影は難しい。
他にも、ボケを多くしたいからF値を下げようとか、暗所で多少ノイズが載ってもいいから感度を上げて確実に撮影したいとか、三脚があり手ブレは抑えられるから長秒露光して感度を下げて暗所をきれいに撮ろうとか、そういうのを自由にいじれる。
その他にも、ミラーレスには色味も多少調整できる機能があるので(スマホにもあるとは思うが)、撮影時点でも多少色味等をいじることもできる。(前述の通りRAWで撮影して、後からパソコンでいじることもできる)
レンズ交換⌗
レンズ性能でも多少書いたが、ミラーレスはレンズを変えることで色々な撮影ができる。例えば、超望遠レンズをつければ飛行機やレースなど比較的距離のある被写体を大きく撮影できたり、マクロレンズを使えばめちゃくちゃ寄って撮影したりもできる。
スマホは最初に搭載されたレンズでしか撮影ができず、開発時点で考慮されてない被写体は撮ることができないか、非常に難しいが、ミラーレスの場合はレンズを変えればいろいろな状況に対応できる。
同じ画角のレンズであってもメーカーや価格によって性能が様々であるため、同じ画角でもより高いレンズを使うことでよりよい描写を得ることもできる。(このあたりは正直未体験ゾーンだが)
周辺機器⌗
スマホカメラも最近はフィルタ等が出ているが、ミラーレスの場合はレンズにつけるフィルタ、ボディにつける周辺機器などが色々あり、撮影のための機能拡張などができる。写真だとやはりフィルタがあるのではないかなと思う。
例えば、NDフィルタを使えば、明るい状況でも長秒露光が可能となり、このような絵が撮れるようになる。スマホも最近のはこういうのが撮れるモードがあるのかもしれないが、普通はなかなか難しいのではないかなと思う。スマホの場合、開発の時点でこういう写真も撮れるように作ろうとなって入れられなかった撮影はできないが、ミラーレスの場合は先のレンズ交換や、後付のフィルタによってこのような撮影も容易にできる。
まとめ⌗
ミラーレスについて一般に言われるようなことと、自分の体験を書いてみた。実際半年ミラーレスを使っていると、たしかにスマホが出すのよりは良い絵が撮れるということが多い気がしている。一方でスマホにも利点はあり、やはりポケットにいれておいてすぐ取り出してとりあえず撮れる、それに撮れる絵も条件によっては結構きれいに撮れるので、スマホで十分なシーンではスマホは活躍する。また、Xperiaはカメラ性能はまずまずかと思うが、iPhoneやGalaxyのようにバリバリAI等を使って力を入れているカメラは、また一味違う描写をするのではないかなと思っている
ということで、ミラーレスを使ったほうがいいかなという人、シーンとしては
- 写真や動画をこだわって撮影したい
- 作品を作りたい
- ミラーレスでないと撮れないものを取りたい(望遠やマクロ、大きなボケ、高い解像度など)
というところじゃないだろうか。
一方でミラーレスの明確な欠点はでかいということじゃないかなと思う。そのため、本当はミラーレスで取りたいけど手間なのでスマホで撮影するというシーンもある。そういうのを解決するのが今後のコンデジに期待されることで、コンデジはミラーレスほど撮影の自由度や写りは高くないものの、スマホよりは格段に撮影しやすく移りも良いというところで、ミラーレスとスマホの間を埋める存在として今後は発展することになると思う。
スマホも、今後は更に発展して、小さくてもよく映るようになると思うが、基本的に物理的にはちゃんとしたカメラには勝てないので、様々なアルゴリズムによってデータを補完したりして、よく見せる方向で発達すると思う。なので、それで良いという人はスマホで十分だし、やっぱり色々いじりたいとか、写実的な描写がほしいという点ではカメラを買ったほうがいいんじゃないかなと思う。
あとは、スマホもミラーレスもある程度作る時点でどういうものを撮影できるようにするかを考慮すると思うが、やはりスマホのほうがその範囲は狭いように思う。何度か書いているが、スマホは得意なシーンはきれいにとれるが、おそらく開発時点で考慮されてない、諦められたシーンにおいては極端に性能が悪かったりする。これはもともとミラーレスに劣る物理性能をソフトウェア等で補正しているので、考慮されてないシーンではもともとの物理的性能の限界がもろに補正されずに出てくるからなのかなと思ったりする。まあ、ミラーレスもある程度どのくらいまで撮れるようにするかを考えて作ってると思うが、その範囲がスマホよりも広く、レンズ交換も含めれば様々なものが撮影できるようになってると思う。
ということで、結局のところスマホでの撮影体験や出てくる画像や映像に満足しているならミラーレスやコンデジを買う必要はないということかなと思う。ちゃんとしたカメラ持ってないから画像や映像を比べられないと思うこともあるかもしれないが、案外ググればカメラの作例はいくらでも出てくるし、このブログにも上手ではないが画像を載せている。また、Youtubeなどではミラーレス撮影された動画も多いし、雑誌やポスターに使われている写真は基本ミラーレスや一眼で撮影されている写真だと思うので、そういうものを見て、違いを感じれるかなというところかなと思う。
https://www.youtube.com/channel/UCz0ONCn6eRcDJGsUzupc3TA
https://www.youtube.com/c/fps24
なお、最後にもう一度書いておくが、この文章は一般的に言われていることと、自分の半年の体験をもとに書いただけで全く定量的に検証を行ったものではないので、実際の現象と感想がずれている可能性もあることを警告しておく。
長くなったが今日はこのくらいで。